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2014-05-29
LET THE RIGHT ONE IN 観劇記

5月7日、午後7時半開演の LET THE RIGHT ONE IN を Apollo Theatre にて観てきました。
Apollo Theatre・・・と言えば、覚えていらっしゃる方もあるかもしれません。昨年12月のニュース。公演中、劇場内の天井が崩落し、けが人が出た事故です。
12月19日現地時間午後8時15分。The Curious Incident of the Dog in the Night-Time.という作品が始まってから約40分後のことだったそうです。当時約720人のお客さんがいて、7名の重傷者を含む、およそ88名のけが人が出たそうです。
なので、劇場に着いて自分の席に座ってから、気になって何度も天井をながめてしまいました。きちんと補修工事がなされたとレヴュー記事にも書いてありましたが、なんとなく不安で^_^; 天井、落ちてきたら・・・怖いです。 しかし、見た目は完ぺきな様子でしたし、今回の作品に合わせてだと思いますが、天井は美しい星の輝く夜空となっていました。
さて、この作品、原作は2004年に出版されたスエ―デン人作家 John Ajvide Lindqvist の小説です。このヴァンパイアの物語はベストセラーとなり、2008年に映画化され話題となりました。私も20.10年、日本で公開されたときに観にいきました。(映画の感想はこちらに書いてあります。 映画感想 ) 映画はとても詩的な美しさに満ちた,切なく哀しい恋と愛の物語でした。けれど、まさかこの作品を舞台作品にできるとは思っていなかったので、4月に偶然 この作品のレヴュー記事を目にしたときはとても驚きました。レヴュー自体も、とても好意的なもので (「Gurdian 、 Telegraph など)、これは絶対に観たい!と思わされました。
そして、5月7日のチケット購入。
席は前から5番目の舞台向かって右よりでした。入場時間直後に劇場に到着、そのまま着席したのですが、最初観客席にいるのが私の他には数名程度で、がらがら状態。いくらBARで飲み物楽しんでいるお客さんが多いとはいえ、ちょっと寂しい。いえ、かなり寂しい。平日の夜だし、あまり一般受けしそうなお話しではないし、満席とならなくても仕方ないのかなあ・・・とちらり思いました。しかし、やがて私の列の右端の席に、かなりご高齢のおばあちゃまが着席。歩くのもかなりゆっくりゆっくりなご様子。正直、びっくりしました。映画を観ているので、かなりえぐいシ―ンも何度かあるのを知っていたので、おばあちゃま、ショック受けたりされないかな・・・と余計な心配をしてしまいました^^; しかし、同時に素敵だなとも。新聞などのレヴュー評価が高いので、観にこられたのかもしれませんが、万人受けはしそうにない新しい作品。こういう作品を観てみようと思われて、実際に出ていらっしゃる若さ、エネルギー、素敵です。見習いたい。
しかし、観客席ががらがらだったので、5番目の列からも舞台がすみずみまで見渡せました。もう、舞台美術、素晴らしいの一言。冬の暗闇に包まれた雑木林。青白い雪がうっすら地上を覆って。
舞台にすうっと立ち並ぶ木々。何本立っていたでしょう。途中まで数えたのですが、わからなくなってしまいました。20本くらい?もっと? この舞台を目にした瞬間、既に物語は始まっていると言えます。
そして、安堵したことに、気が付くとお客さんで座席が埋まり始めていました。私の目の前にも体の大きな男性が着席。舞台がちょっと見えにくくはなりましたが、やはりお客さんで劇場が埋まっていると、役者さんも更なるパワーが出るというもの。
7時30分、開演の時間が近づき、2階席も私の席から見る限り埋まっています。そして・・・開演数分前。静かに静かに物語が動き出しました。多分気がつかない方も多かったと思います。(どうぞ、開演5分前位から舞台を見ていてくださいね。)
簡単なあらすじ
オスカーは学校でいじめられている。しかし誰にも言えない。ある冬の夜、ひとりナイフを木に突き立てるオスカーに、少女が声をかける。最近隣に越してきたエリという名の少女。「あなたとは友達になれない」そう言う少女。しかし、ふたりは毎晩会うようになり、お互いに少しずつ打解けていく。
その頃、連続殺人事件が町を震え上がらせていた。血を抜き取られて殺される人々。なぜ、なんのために、だれが?
本当に超簡単なあらすじでしたね(-_-;)
さて、肝心の感想です。見事な作品に仕上がっていました。面白かったです、いろいろな意味で。非常に綿密に練られた脚本の構成と演出方法が、映像化なら大丈夫だけど、舞台では難しいだろうと思われた部分を見事にクリアー。そう、エリ役のRebecca Benson をはじめ、役者さんの演技力も貢献しているのは当然のこと。
私が、舞台でどうみせるのか心配していたのが、ラスト近くのプールのシ―ンでした。このシーンは非常に重要なのですが、プールの中の状況や登場人物の動きをどう観客に見せるのか、Little Mermaid みたいに空中ブランコ使うわけにもいかないだろうし。しかも、あまりに衝撃的な場面もあるので、うーーん、もしかしたらプールのシーンごと別の状況での出来ごとにするんだろうか。
答えは、やっぱりプールは水、です。水がなくては! 本当に感心しました。なるほど、そういうことですか、と。それにしても、オスカー役の Martin Quinn、息を止める練習も大変だったのではないでしょうか。目もぱっちりで・・・。映画での衝撃的なシーンはさすがにありませんでした。いや、あったらどうしようと思ったので、ああいう演出でほっとしました。(映画のままだったら、ご高齢のおばあちゃま、卒倒してしまわれないかと本当に心配でしたし。)
映画と同様、深い哀しみをまとう宿命の純粋な愛と恋、そして切ない生と死の物語に、心が揺さぶられました。映画の映像の美しさに負けない、舞台美術の崇高なまでの美、そして音楽。素晴らしい作品でした。
映画とついつい比較してしまうのがよいか、悪いか、わかりません。けれど、この舞台、映画も観られてから行かれるのもよいと思います。
ヒロイン、エリも、舞台のエリはたくましい。健康優良児的な体格。最初、写真で見た時は、え、これがあのエリ? 髪も黒くないし・・・と違和感はありましたが、意外なまでの身のこなしの軽やかさ(これがないと、舞台がだいなしです。)に、なるほど、この「エリ」もありだわ・・・と思いました。
オスカー役の Martin Quinn、実際の年齢が調べてもわからなかったのですが(Rebecca Bensonもわからなかった・・・)、目の表情や体の動きで、ローティーンに見える、見える。いじめっこジョニー (Graeme Dalling)たちも。
おおいそぎで書きましたが、この夏、Westend で何か観ようと考えていらっしゃる方に、お勧めいたします。秀作です。(ただし、血をみるのが苦手な方以外。) 9月27日まで。




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