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2009-10-17

「組曲虐殺」 観劇記   ~忘れてはいけない人々のこと~

本日、天王洲アイルの銀河劇場にて、井上ひさし作「組曲虐殺」観劇。

羽田行きモノレールで何度となく通過したことのある天王洲アイル駅。今日はじめて降りました。銀河劇場も初めて。井上ひさしさんの作品も初めて。どきどきわくわく。

劇場近くには、こんな垂れ幕もあり、ちょっと見とれてしまいました・・・。ハハハ;;。

フロ・ニク 垂れ幕

さて、「組曲虐殺」。タイトルを初めて見たとき、思わずぞわっと背筋が寒くなった覚えがあります。プロレタリア文学を書いていた小林多喜二が特高刑事に逮捕されたあと、拷問をうけて殺されてしまう・・・。という、史実に基づいた重くて暗い内容の作品。

野坂昭如さんの小説原作のアニメ映画「火垂るの墓」、これを我が家の子ザル軍団は見たことがありません。いえ、正確に言えば、見ようとしない。毎夏、テレビや児童館などでも放映される作品だと思うのですが、絶対に我が家のサルさんたちは見ない。「見てみたら。」そう言っても、絶対に見ないのです。

「怖いから。」

それが理由です。戦争中の、悲惨な話。それが怖いというのです。たぶん、幼い主人公たちに悲しいこと、つらいことが起こるのを見るのがいたたまれない・・・。自分たちには、かわいそうと、主人公たちに思い入れして、自分まで暗くしんどい思いを味わうだけの強さがない・・・と、わかっているんだと思います。ただ、おとなとして、親として、子どもたちにも、戦争というものがどんな悲惨なものであったか、少しでいいから理解できるようになってほしいと願ってしまいます。

「火垂るの墓」と「組曲虐殺」。忘れてはいけない時代や人々のことを思い出させてくれる作品。観ていてつらすぎるかもしれない、切なすぎるかもしれない。だが、受け止めねばならない作品。けれど、いい意味で「組曲虐殺」は、期待を裏切ってくれました!

銀が劇場


さて、劇場に入ろうとしたとき、入口付近におかれたお知らせ板に、上演時間3時間15分と書いてあり、びっくりしました。長い! 1幕目が1時間40分。休憩が15分。2幕目が1時間20分。なんて長い!
お芝居やミュージカルは大体、休憩入れて2時間から2時間半の作品が多いと思います。なので、上演時間の長さにちょっと、驚き心配になりました。寝ないだろうか、と。慢性的に睡眠不足のせいか、観ている内容が面白くないと、すぐ眠ってしまうという特技を持つ私。(大好きな俳優モーガン・フリーマンのお芝居”COUNTRY GIRL”をBROADWAYで観た時も、内容にはまれず、80%の時間はぐうぐう寝てしまったという悲しい思い出が。チケットももったいなかったけれど、役者さんたちにも失礼!)今日も、眠ってしまって、失礼なことにならないか不安がよぎりました。

しかし、そんな不安は、舞台が始まった瞬間吹き飛びました。

舞台中央奥高くにおかれたピアノ。そこから繰り出される時にはテンポのよい弾むような明るい曲、時には緊張感が全身に感じられる旋律・・・。そして、なにより、たくさんの笑い。

何度笑ったことでしょう! 

井上ひさしさんの脚本が、本当に絶妙にうまい!

そして、栗山民也さんの考え抜かれた演出。

小曽根真さんの心に響くピアノの調べ。

あっという間の、3時間15分でした。

「火垂るの墓」と違ったのは、笑いが随所に盛り込まれた作品であったということ。どちらがいいとか悪いとかでは全くありません。「火垂るの墓」のように、観ている間、しっかりしっかりただ悲しみを受け止め続ける作品も必要だし、「組曲虐殺」のように、「笑い」ながらなお、その後ろに見え隠れする悲劇を受け止めるという作品もとてもいいと思います。もっとも、アニメとお芝居(音楽劇)を比べるのが、そもそもおかしいのかもしれません。ただ、どちらの作品も、生きる権利を「時代」に奪われた人たちを描いているので、つい・・・。

出演者はたった6人。小林多喜二を演じた井上芳雄さんの圧倒的な歌唱力とひたむきな演技に脱帽。(帰りにサイン入り限定本を買おうかと迷ったほど♪)彼のような有望な素敵な役者さんがいるなんて、知りませんでした!

多喜二の恋人役の石原さとみさん。期待にたがわぬ、しっかりとした演技でお客さんを魅了してくれました。高い声が、せりふを聞きづらくさせているところが少しだけありましたが、可憐な歌声で、聞いていてほろっとさせらsれました。

多喜二のお姉さんは高畑淳子さん。コミカルな役が本当にお上手。きれいでした♪

多喜二の妻ふじ子役は神野三鈴さん。恋人のいる多喜二の妻になるという、女性からすると、いやな女にもなりうる立場。しかし、細やかな演技で、ふじ子の生き方を美しく、潔くみせてくれていました。

そして、特高刑事役のおふたり、山本龍二さんと山崎一さん。この刑事さんたちが、1番好きでした。特高刑事という役がもつ不吉な雰囲気を背負いながら、漫才かと思えるようなおふたりの掛け合いなど、観客の目をずっとひきつけてくれていました。最後の最後まで重要な役を完璧に演じられたおふたりが、とても素晴らしかった・・・。

最後に「音楽劇」と「ミュージカル」について。「組曲虐殺」は音楽劇ということでした。けれど、そもそも観る前は、ミュージカルと音楽劇の違いがよくわかりませんでした。が、観終わって感じたことがありました。全くもって勝手な個人的な印象です。・・・「ミュージカル」は、お客さんに歌や踊りをじっくり楽しんでもらいたい、歌と踊りにうっとりしてもらいたいという意向が強い、なので出演者は演技力だけではなく、歌唱力や踊りが優れた役者さんでなければならない(例外もあるでしょうけれど。)。一方「音楽劇」は、歌や曲もお客さんに楽しんでもらいたい。しかし、歌そのものよりは、お芝居をじっくり味わってもらいたい。なので、まず演技力が役者さんには求められる。

「組曲虐殺」・・・日経新聞の劇評「エンタテインメント性と鋭い社会批判が溶け合う力強い音楽劇」。確かに、確かに。だけどそれをちょっとだけ変えたい。「力強い音楽劇」を「素朴で純真な音楽劇」と。
力強いというより、ひたむきに暗い時代を生きた人びとの純粋な希望と絶望がやさしい歌声で導かれた作品だったから。

いろいろな方に観てもらいたい作品です!! 天王洲 銀河劇場にて 今月25日まで
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に魂を奪われてから、すでに1年あまり。しかし、ごく最近、4年ぶりに東京にもどってきました! 久々の東京生活も実にスリリング♪

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