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2012-05-08

『シダの群れ 純情巡礼編』 観劇記

5月5日午後7時開演、『シダの群れ 純情巡礼編』 を観てきました。2010年秋の 『シダの群れ』 が非常に面白かったこと、更に今回は、芸達者な堤真一さん、松雪泰子さん出演ということもあり、期待大、それも特大状態での観劇となりました。

しかし、ずばり申し上げましょう。

面白くなかった(>_<) !(あくまでも個人的感想ですので、ご容赦ください。)

どうしても前作と比較してしまうのでいけないのですが・・・。前作のあのすばらしい脚本・・・複雑に入り組んだ人間関係やそれぞれの感情、思惑を横糸に縦糸に使い、哀しい、けれど切ない美しさに溢れた一枚のタペストリーに仕上げたシナリオ・・・あの感激をもう一度味わいたかったのに、残念。

今回の脚本は単にややこしいだけで、全体的に「言葉遊び」が多過ぎ、疲れてしまいました。(単に自分の脳が劣化しただけという話もあります・・・(-_-;)。) 何より、堤真一さん演じるやくざ「坂本」がかっこよくなかったのが、非常に不思議。一番かっこよかったのは、風間杜夫さん演じる「水野」。もちろん、意図的に「坂本」がかっこよくない設定だったのかもしれません。けれど、前作の江口洋介さん演じた「タカヒロ」のように、任侠の美学を貫く哀しさ、かっこよさを、今回も「坂本」に与えるべきだったと思います。堤さん、もったいないです。

とにかく、脚本の散漫さと、この作品の魂とも言える「坂本」と松雪さん演じる「ヤスコ」の心の通い合いの描かれ方の薄っぺらい点が、つらかったです。

それから、ギタリストの村治佳織さんの生演奏、これも全く必要なかったです。むしろ、ないほうがよかった。なぜ、前作にはなかったのに今回は生演奏? 村治さんの演奏はそれは素晴らしかったです。お芝居観にきたのに、村治さんの生演奏まで聞けて、お得・・・と言えるのかも?

でも、ですよ・・・。でも、例えていうなら、私は鍋焼きうどんが食べたかった。で、以前行って、鍋焼きうどんの美味しかったうどん屋さんに入って、また鍋焼きうどんを注文したわけです。が、そしたら鍋焼きうどん単品がなくなっており、鍋焼きうどんと炊き込みごはんのセットだった・・・。炊き込みご飯、好きです。炊き込みご飯がついたのは嬉しい、でも、代わりに鍋焼きうどんの具が貧相になっていたわけです。えびがなくて、かまぼこだけだったというような。私は、以前食べた、あの豪華な具の鍋焼きが食べたかった・・・・。ああ、なぜに炊き込み?? 村治さんの登場の仕方も、ちょっと不気味な演出。照明のあたりかたなどがよくなかったのでしょうか。私の座席(2階席、右寄りの座席)の位置が悪かったのかもしれませんが・・・。

小池徹平くん、頑張っていました。でも、彼の演じるチンピラのキャラそのものに魅力はなかった。阿部サダヲさん演じた前作のチンピラと違って、設定に深みがない。小池君の演技力の問題と言うよりは、これも脚本の問題だと思います。

女性陣について・・・。松雪さんの「ヤスコ」、とってもきれいで魅力的でした。が、やっぱり「坂本」と「ヤスコ」の関係の描き方不足の脚本のせいでもったいない印象。倉科カナさん、素敵でした。「坂本」の妹で、小池くん演じるチンピラくんに惚れているのですが、なぜあのラスト? 前作を思わせるラストでしたが、前作ではそれが実に自然でした。が、今回はあまりに唐突。けれど、倉科さん、好演でした。市川実和子さん演じる、暴力団幹部「水野」に恋する看護師「ヨシコ」・・・。水野を想う姿はいじらしい。けれど、まだ役がこなれていない印象。

・・・・とまあ、かなり辛口感想となってしまいました。が、5月4日に開幕したばかりで、私が観たのはまだ3回目の公演。これからもっと、全体的によい作品になっていくのではないでしょうか。

それにしても・・・豪華な鍋焼き、食べたかったなぁ。

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作・演出:岩松了
ギター演奏:村治佳織
出 演: 堤真一、松雪泰子、小池徹平、荒川良々、倉科カナ、風間杜夫、市川実和子、石住昭彦、
吉見一豊、清水優、太賀、鈴木伸之、浅野彰一、深水元基
日程:2012/5/4(金・祝)~5/27(日)
劇場:シアターコクーン


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2012-01-15

「寿歌(ほぎうた)」観劇記   ~何度でも観たい~

1月14日、午後3時開演、シス・カンパニーの「寿歌」を観てきました。

今年初めての作品。

傑作でした!

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たった3人の出演者、80分のどちらかというと短い作品。

しかし、観終った後、何とも言えない静かで深い思いにとらわれてしまい、ああ、また観たい、そしてまたこの3人に会いにきたい、そう強く感じました。

核戦争後の世界。廃墟と化した世界を、コンピューターの誤作動で、核ミサイルが今も飛び続ける。なぜか生き残っている能天気な旅芸人のキョウコ(戸田恵梨香さん)とゲサク(堤真一さんの二人)。目的もなく、キョウコの踊りを見せながら流浪の旅。その途中で出会ったのが、ヤスオ(橋本じゅんさん)。行き倒れしかかった頼りないヤスオをふたりは助ける。そして3人の旅が始まった・・・。


あらすじ自体は、キョウコとゲサク二人とヤスオの出会いと別れ。しかし、この作品の奥行の深さは何としたことだろう。ナンセンスなセリフ、ナンセンスな登場人物設定、ナンセンスな衣装・・・ナンセンスが目白押し。しかし、キョウコにしてもゲサクにしても、ナンセンスな世界で漂っているからこそ、生きていられるのだろう。高放射能が世界をぐるぐる廻って世界を満たしているのだから、人類は滅亡するだけの定め。実際に旅を続けても、二人が目に見える観客に出会えることはない。唯一出会ったのがヤスオ。孤独、恐怖・・・も、仲間がいるから、忘れていられる。

特に、心に残るのが、ゲサクのキョウコへの愛。だが、それは男女の愛ではない。母の愛、慈愛。キョウコを見守る温かな眼差しは、幼子を見守る母のそれ。それもあってか、最初と最後の手押し車のシーンでは、「身毒丸」を思い出してしまった。その場面の音楽も、「身毒丸」を彷彿とさせた、レトロな感じ。

核戦争、放射能・・・あたかも、大震災後の今だからこそ上演された作品なのかと思ってしまいそうだが、それは単なる偶然だったそう。昨年の大震災前に既に上演は決定していたそうです。(それは当然ですよね。堤さん、戸田さんなど売れっ子の役者さんのスケジュールを長期間おさえるためにはずっと前からのスケジュール調整が必要ですよね。)それにしても、すごい偶然。今の状況だからこそ、より私たちに訴えてくるものがあるのは必然。

キョウコやゲサクが、放射能、死への恐怖を脇によけながら旅を続けるように、今、私たちも、地震、放射能への恐怖をなるべく見ないようにして、日々生きている気がします。また、そうでないと、日常を送ることはできないのだから。

キョウコが求め、手を伸ばして捉えようとするホタル。核の塵に交じる、白いユキ、降りそそぐユキ。美しく、キョウコの心を奪うけれど、一体その正体は何なのか。ただ、ミサイルの落とした核の残り火なのか、死の灰なのか。きっと、観るたびに自分の中の解釈も変わるのだろう、そんな気がします。

3人の役者さんもそれぞれ素晴らしい。特に、堤さんは笑いをとるのもとっても上手だが、やはり、表情だけで観るものをはっとさせる演技ができる。そして、注目すべきは戸田さん!演技が上手で定評のある女優さんですが、いやあ見事でした。違う人が演じたら、もしかしたらただのオツムの弱い女の子にしか見えなかったかもしれない。だが、戸田さんも目で演技ができる女優さん。気配だけの観客の前で、紅いべべ着て踊るときの、戸田さんの悲しい表情は気高くさえありました・・・。キョウコの穢れをしらない、純真な魂をこよなく愛すゲサクの気持ちも理解できました。ああ、この子を守ってやりたい。誰もにそう思わせる少女。戸田さんだからこそ、ここまで完璧に演じられた、そう思います。

ごつい網状というか、不規則な穴の沢山あいた舞台奥の壁、ミサイルの飛来音、遠くでの爆発音、閃光・・・・。舞台美術も音響も、全て美しい。キョウコとゲサクのサイケな衣装もまた美しい。

年明けにふさわしい傑作、名作でした!!!



『寿歌』
1/5~2/2 新国立劇場 小劇場
作・北村想
演出・千葉哲也
出演・堤真一 戸田恵梨香 橋本じゅん

*当日券もありました!



2011-12-14

11月・12月観劇記    ~共通するテーマとは~

11月6日、 シアタートラムにて 『往転』。
12月4日、あうるすぽっと にて『おやすみ、母さん』。
12月11日、サンシャイン劇場にて 『流星ワゴン』。

では、まずはまだ上演中の『流星ワゴン』観劇記から。

『流星ワゴン』

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12月11日、午後2時開演、演劇集団キャラメルボックスのクリスマスツアー、東京公演。

『演劇集団キャラメルボックス』の名前を知らない人はきっと多いと思います。もちろん、東京近辺在住で趣味が観劇という方なら、もしかしたら50%位の知名度はあるかもしれません。早稲田大の演劇サークル出身のメンバーが社会人の演劇集団として発足させてからもう26年。私が、その存在を知ってからも20年以上。その間、海外に暮らしていた時期もあり、毎年毎年その作品を見続けてきたわけではありません。

こんな言い方をしてはよくないのですが、作品の全てが傑作とは思いません。が、かなりの確率で、血沸き踊る感覚を得られる作品が多いのも事実。けれど、2年前の『ラビットイヤーズ』はよくなかった・・・。脚本が散漫で、登場人物に感情移入ができず、登場人物の行動や存在意義に必然が感じられませんでした。それで、つい昨年は作品を観るのをスキップしてしまいました。

では今年はなぜ観ようと思ったのか。重松清さんの作品はよい物が多いし、好きな作品もあります。が、『流星ワゴン』は読んだことがないので、原作のファンだったからというわけではありません。「まあ、やっぱり12月はキャラメル観なきゃ・・・」という、キャラメルに期待する気持からだったと思います。

いや、肝心の感想に入る前に何をぐだぐだ書いているか・・・というと、とにかくこれが伝えたかったのです!!

とにかく素晴らしい!
文句なしの傑作。
キャラメルボックスの代表作になること間違いなし!!!


本当に今年は観にきてよかった。終わった後、お隣の男性ふたり組も「これはキャラメルのベスト3に入るな。」と話していらっしゃいました。

さて、原作を読んでいないので、脚本が原作に忠実であったかどうかはわかりません。が、とにかくこの脚本は素晴らしくよくできています。登場人物の描きかた、無駄のないセリフ、場面構成。引き合いにだしては申し訳ないのですが、2年前に欠けていたものが全て揃っていました。相当、脚本家成井豊さんは原作を読みこまれたのだなあと思いました。(当然だとは思いますが) そして舞台作品に構築し直すうえで、必要なもの、不必要を丁寧にふるいにかけていかれたのでしょう。

〈簡単なあらすじ〉
主人公の永田一雄38歳は、職も失い、家庭も壊れかけ、父親も病気で危篤状態。生きる希望を失い、もう死んでもいいなと漠然と感じたときに出会った橋本さん親子。不器用だが誠実な人柄の橋本さんと元気な息子の健太くん。橋本さんが運転する、オデッセイ。そのワゴン車に乗って、一雄は過去をやり直せるかどうか、不思議な旅に出ることになる。そして、それはこの世の人ではない橋本さん親子の絆を確かめる旅でもあった。


キャラメルのよさ・強みは役者さんの層の厚さ。どの役者さんもうまい。今回、特に素晴らしかったのは、一雄の父親、忠雄を演じた三浦剛さん。裸一貫で会社をいくつも興し、多くの人を雇い、危ない橋も幾つも渡ってきた男。強面だが、実は家族に深い愛情を抱く。が、息子、一雄は金貸し業を営む父親に反発、会社をつがず故郷を離れて、東京で就職。そんな息子に腹を立てたまま、時間は過ぎ、とうとう自分は病床に伏せることに。そんな、頑固な親父、だが実は必死に息子を愛し、息子のために何かしてやりたいと願う、優しい父親・・・「ちゅうさん」。その「ちゅうさん」の絶対的存在感がこの作品を傑作に仕上げていると感じました。三浦さんの風貌からこの役ははまり役に間違いありません(!)。が確かな演技力がなければ、ここまで見事な存在感は出せません。ああ、こんなお父さん、いいなあ・・・。そう思いながら「ちゅうさん」を観ていました。

他にも、健太くんを演じた林貴子さん、一雄の息子役の原田樹里さんも、本当に少年にしか見えませんでした。一雄の妹役の前田綾さんも、コミカルな演技のうまいこと。もちろん主人公、一雄を演じた阿部丈二さんのくたびれ感漂う演技もよかったです。そして、橋本さん役の西本浩幸さんや大森美紀子さん、坂口理恵さんらキャラメルの顔である役者さんたちの安定した演技には観ていて嬉しさがこみあげます。本当に。劇中にかかる曲もいいですし、舞台も幻想的なブルーの光が印象的で素敵でした。笑いあり、郷愁感あり、そしてじわじわきて心の奥を揺さぶる親子の情、友情、そして感動ありのキャラメルのよさがたっぷり堪能できた作品でした。

人と人の絆を追及するキャラメル作品の新たな傑作の誕生です。
この冬、是非観ていただきたい作品です!


演劇集団キャラメルボックス 『流星ワゴン』
サンシャイン劇場にて  12月25日まで!
出演:  阿部丈二  西川浩幸  大森美紀子 坂口理恵 岡田さつき 菅野良一 前田綾 岡内美喜子 畑中智行 
      三浦剛 林貴子 原田樹里


*開演前の2人の新人さんたちの「観劇に際しての注意事項説明」パフォーマンスも立派でした。
特に、男性の声のよく通ること、しっかりしていること。爽やかなルックスで、これから有望な新人さんだと思いました。
お名前は忘れてしまいましたが!

さて・・・『おやすみ、母さん』『往転』はまた後日・・・。

2011-10-06

『オーデュボンの祈り』観劇記   ~観る前に読んだほうがいい?~

10月2日、午後1時より、世田谷パブリックシアターにて、『オーデュボンの祈り』観劇。

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我が家の大ザル嬢、いえ、花も恥じらう女子高校生もよく読んでいる作家・伊坂幸太郎さんのデビュー作。しかし、私自身は読んだことがありません。例にって、出演者に惹かれて観ることを決めた作品です。お目当ての役者さんは吉沢悠さん、筒井道隆さん、石井正則さん。

特に、吉沢悠さんにはある理由から、非常にその舞台の立ち姿に興味がありまして・・・。ええ、もし、私のその妙なこだわりについて言えば、120%満足といいますか、充分に検証させていただきました。それについては、後ほど・・・。

さてさて、肝心のお芝居としての感想から、まず。

お芝居は脚本が最重要。

それを改めて思いました。というのは、観終わって、結局何がこの作品で製作者が一番観客に伝えたかったことが、よくわからなかったからなのです。主人公たちが探し求めているものの答えが、最後に明かされるのですが、え、それが何? 何ゆえ、この作品にそれが「みながずっとずっと待て望んでいたもの」となりえるのか…がわからない。

で、思ったのです。この作品は、原作読んでいるのが前提なのかなと。原作を読んでいればもっとキャラクターにも設定にもストーリーにも、小道具にも納得できるのかもしれないと。が、やはり、あくまでもお芝居は一つの独立した作品。原作を読んでいようが読んでいなかろうが、そこにいるお客さんが、納得できる作品でなければならないと私は思います。

ちょっとよく分からない点もあったけれど、多分、こういうことをこの作品は言いたかったんだろう・・・と漠然とでいいので何か自分で納得できるものを持ちかえることのできる作品であってほしい・・・。

しかし、残念ながら、私には最後にみなが見つけたものが、なぜそんなに貴重なのか、必要なのか、さっぱり納得ができず、もやもや感だけが残った感じでした。(すみません。しかし、あくまでも私個人の感じ方です。)

登場人物も多く、場面の切り替えも多い、10分の休憩を入れて2時間30分の力作。おそらく、脚本家の方は、なるべく原作に忠実に・・・とお考えになったのではないかと思います。が、ここはもっと割り切ってもっと大胆にアレンジして、観る人が納得できるような作品に作り上げることができたら、すごい作品になっていた気がします。残念!

…と、作品の全体的な評価は思い切り辛口ですが、個々の役者さんや場面場面についてはいいなあと思うところがありました。

特に気に行ったのは、玉置玲央さん演じる殺し屋、「桜」。声もいいし、立っているだけでものすごく雰囲気を出せる役者さん。「柿喰う客」という劇団の役者さんだそうですが、本当に声が素敵です。舞台映えする役者さん。かっこいいですよ♪ 自分だけにしか分からないルールによって、他人を殺す男。しかし、その殺しにはある種の美学が見え隠れする・・・。この作品の中で一番好きなキャラクターです。また、玉置さんは、「城山」というイケメン悪徳警官も演じてらっしゃいました。「桜」と「城山」が最後のほうで対峙する場面があるのですが、スクリーン映像をうまく使った演出で楽しませてもらいました。

それから、脚の不自由な「田中」を演じる小林隆さんの演技も観る者の気持ちを静かにさせてくれました。吉沢悠さん演じる主人公「伊藤」が物見やぐらにのぼった「田中」を追いかけて助けようとする場面は、印象的でした。

・・・少女「わかば」役は、この作品では本当に設定と同じくらいの年齢のお子さんに演じてほしかったです。大人の女性には無理のある役でしたね;;不思議な設定のキャラクター満載の作品なので、せめて、少女役は、普通の少女の外見でいてほしかった・・・。身体は大人なのに中身は子どもという設定ではないようですので・・・。

そして、お目当ての3人の役者さんは、安定した予想通りの演技。特に、筒井道隆さんの案山子役は、筒井さんの持つ「一見いつも穏やかだけれど、実は深い悩みを抱えている。が、決してその悩みを表に出さないようにしている
」的なイメージや今までの役柄を彷彿とさせてくれます。(サザエさんの「ますおさん」には深い悩みはなさそうですが・・・。)この案山子役は筒井さんしかいないでしょう、というくらい。ただ、たまにはこうしたいつものイメージと全く違う、激しい気性のキャラクターなども演じて頂きたいなあと思います♪

・・・そして、吉沢悠さん! 吉沢さんは非常にうまい役者さんです。おととしのドラマ『踊るドクター』での、おたくキャラで絶えずおどおどしたダメ医者を演じたときの吉沢さんにはひっくり返ってしまいました。好青年で結構もてる役の多かった吉沢さんとは、180度違う演技! 『踊るドクター』での吉沢さんしか知らないうちの長女なんて、『オーデュボンの祈り』のちらしの吉沢さんの写真を見せても、「えー、ちがう人でしょう。」と一蹴。
かっこ悪い役からかっこいい訳まで演じきれる、見事な役者さんだと思っています。ただ、この『オーデュボン』
の『伊藤』役は、出番は多いけれど、吉沢さんには物足りなかったのではないでしょうか? 吉沢さんにも今後もっともっといろいろな舞台に立ってもらいたいです!

そしてそして・・・今回、私の中でパズルのピースがまさにぴったりあったのが、舞台に立つ吉沢悠さんの姿!

 やっぱり、MATT DOYLEに似ている! 

MATTのほうがもっと身体の線は細い。でも、吉沢さんの脚の長いこと、身体の線のきれいなこと、そしてお顔の造詣がMATTとよく似ていることと言ったら!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

・・・以前からちらっと思っていたことだったんです。でも、実際の舞台の上の吉沢さんを見て確信しました。やっぱり、MATTの面影ばりばり・・・と。常々MATTにはそのノーブルな立ち姿からヴァンパイアを演じてほしいなあと願っているのですが、ここは是非吉沢さんにもヴァンパイア役を~~~。ああ、本当に姿勢もよく、身体のきれいな役者さんです。自転車をこぐシーンも素敵でした☆ ノーブルでしかも、色気がある・・・。私の中では、日本のMATT DOYLEは吉沢悠さんで決まりました・・・^^;。(年齢的には、吉沢さんはMATTより9歳も上ですが;;)

と以上、私の中では吉沢悠さんが舞台でもものすごくかっこよい役者さんであり、MATTを彷彿とさせる役者さんだということが確信できたことが、一番の収穫だったと言えます・・・。

また、スクリーン映像を使った演出や、ボリュームの大きい音響に、ややしつこさは感じたものの、工夫を重ねているのも使わってきた作品でもありました。吉沢さんの白っぽいシャツと黒っぽいパンツ姿はシンプルでしたが、とてもよくお似合いでした。また、筒井さんの案山子のアースカラーの衣装もしっくり。『オーデュボン』の原作のシュールでナンセンスなイメージを実際にここまで具現化された努力は相当のものだったと思います。そういう意味では、やはり原作を読んでから、観に行ったほうが、価値ある作品なのかもしれませんね。う^^^ん、いやいや、読まないで行って、観終わってから小説を読み、舞台のイメージと小説の世界のイメージの検証を行うのがおつな鑑賞方法かもしれません!

「オーデュボンの祈り」
原作:伊坂幸太郎さん『オーデュボンの祈り』(新潮文庫刊)
出演:吉沢 悠さん、筒井道隆さん、石井正則さん、河原雅彦さん、小林 隆さん、武藤晃子さん、小泉深雪さん、寺地美穂さん、町田マリーさん、春海四方さん、玉置玲央さん、陰山 泰さん

東京:世田谷パブリックシアター 9月30日~10月12日
北海道:札幌教育文化会館 10月19日
大阪:サンケイホールブリーゼ 10月22日・23日
宮城:電力ホール 10月25日



2011-09-27

『身毒丸』観劇記    ~凄まじい愛憎劇~

皆様、こんにちは! すっかりご無沙汰してしまいました。

心配していた弟の手術でしたが、本当に神様が味方してくれました。

これが6度目の手術だったのですが、一番難しい手術になるということで皆で覚悟して臨んだのですが、なんと今までで一番時間的には短い手術となりました。

手術中に何かあったらすぐ家族で判断してもらいたいので、手術室の前で待ってもらうのではなく、実際に手術している部屋のすぐそばで待っていてください・・・ということで待っていたところ、予想よりも随分早く「手術が終わりました」と声をかけられ、父なんかは、いざ開腹したはいいが、手の施しようがなかったのか・・と勝手に観念してしまったそうです。いい意味で誤解だったのですが。

若いときから病気にかかった弟をかわいそうだと思ったりももちろんしますが、相当に運の強い人間なのではと思います。たくさん用意していただいた輸血も手をつける必要がないまま、日赤さんにお返しもできました。ブログを読んでくださっている皆様にもご心配おかけしたことと思います。本当にすみませんでした。そして、ありがとうございました。

・・・・・・・・・

さて、実は弟の手術前、9月3日に『身毒丸』を観に行きました。観た直後に感想を書こうと途中まで記したものの、完成させられないまま、今日まできてしまいました~~~。東京公演も大阪公演も名古屋公演もとっくに終わってしまいましたね;;;

しかし、今更かもしれませんが、感じたことを書いてみたいと思います。

9月3日、天王洲銀河劇場での午後5時半開演の『身毒丸』。東京公演は9月6日までなので、キャストの皆さんも疲れがたまっていらっしゃる頃か、あるいは、作品の完成度がぐっと高まった頃かな・・・など、思いながら足を運びました。

身毒

『身毒丸』(しんとくまる)は、寺山修司さんの舞台作品で、脚本は寺山さんと岸田理生さんが共同執筆。1978年 に「天井桟敷」で初演され、1995年 に蜷川幸雄さんの演出版が武田真治さん、白石加代子さん主演で初演されました。その後1997年に藤原竜也さん、白石加代子さん主演でロンドン公演が行われ、1998年には国内でも上演されて、話題を呼びました。

母親のいない家庭に買われてやってきた撫子と、自分を産んでくれた母を求め続け、かたくなに撫子を拒否する義理の息子、身毒丸との妖しく激しい愛憎劇。今回も身毒丸はオーディションで選ばれました。大勢の候補者の中から選ばれたのは矢野聖人さん。18歳の新人さん。どんな演技を見せてくれるでしょうか。そして何より今回の公演を観ようと思った一番の動機は、大竹しのぶさんが出演されていること! 一体どんな演技で観客を魅了してくれるのでしょう。大竹さんの演技で満足できぬわけはないので、ただ、どんな酔わせ方をしてくださるかだけが気になるところ。それに、私は寺山修司さんの作品は初めて! 当然、身毒丸も初めて!(偉そうに今までの軌跡を書きましたが(・_・;)・・・)

さあ、始まりの形もいかに?

・・・そして、暗がりに火花散らせて溶接工がもの語らず、闇にもなりきれないその時の、人のような人でないような怖ろしげな、しかし滑稽でもあるような悲しくもあるようなそんな群れ、その奥より、ひっそり、少年は現るる・・・。(寺山風に挑戦・・・)

戯言はこのくらいにして・・・さて、冒頭のシーンから、一気に気持ちは「ゲゲゲのげ」です。妖怪、魑魅魍魎が跋扈するかの世界。音楽全般も「昭和枯れすすき」チックな、胸を刺す重さ、暗さ。この圧倒的な異世界情緒、空間、秩序にただただ敬服するのみ。いえ、このあまりに圧倒的世界観をとうとう消化しきれぬまま、最後を迎えてしまった、そう言わざるを得ません。。が、一度は観ておいてよかった。真にそう思ったのも事実。

何がよかったか。

やっぱり、大竹しのぶさん演じる撫子、これにつきました。撫子が登場するシーンの何とも美しくかわいらしいこと。終演後、帰りの混雑の中であるお客さんが「大竹しのぶが美しすぎて泣けてきた・・・」と連れの方に話していらっしゃいましたが、まさにその通り。愛と憎しみの果てに、鬼女になってもなお、美しく、妖しく、そして凄まじく。その迫力に、舞台の空気がびりびり揺れたように感じたほど。しかし、最初は、買われてやってきた家で、身毒丸のいいお母さんになろうとするいじらしい撫子。が、何をやってもなつかない、それどころか自分を忌み嫌う身毒丸をやがて激しく激しく憎むように。撫子が鬼に変わっていく怒涛のプロセス。それこそが、この作品の見どころなのではないでしょうか。大竹さん演じる撫子の、あどけない優しい女性が世にも恐ろしいものになっていく姿、必見でした。

それから、撫子の連れ子、「せんさく」役の子役さんがとても上手でした。素直な子で、身毒丸の実父も心を誰にも開かない身毒丸より、血のつながらない「せんさく」のほうがかわいいと言う。役柄が役柄なだけに、下心があって身毒丸の父親に取り入ろうとしているのかと最初は思ったのですが、どうもそうではなく、本当に家族という枠組みの中に自分の居場所を見つけたことが嬉しいその屈託なさが、身毒丸の斜めにおれた心の暗さを余計に浮き上がらせていました。

残念だったのは、撫子と身毒丸の「禁断の愛」の部分。撫子と身毒丸には、「母と子」という形での葛藤、憎しみ合いと同時に、「異性」として互いを見る「禁断の愛」の部分が描かれていたはず。はず! しかし、その部分が、とても希薄に感じられました。それはもともと脚本がそうなのか・・・あるいは、矢野聖人さん演じる身毒丸が異性として、撫子に魅力があるとは感じられなかったためでしょうか。

非常に辛口になってしまいますが、矢野さんの身毒丸は、ひたすら泣きわめく情けない、自己憐憫に浸った若者・・・にしか見えず、その身毒丸のどの部分に撫子は異性を意識するというのか、私には納得できませんでした。もっとも、武田真治さん、藤原竜也さんの身毒丸を観たことはないので、矢野さんの身毒丸のありようが、演技力や演技のセンスの話しなのか、演出の話しなのかは判断はつきませんでしたが。とにかく、ただ大きな声で叫んだりわめくだけの演技ではない、何かを観たかったなと思います。きれいな顔の役者さんですし、まだまだお若い。きっと今後、もっと違う役柄で新しい役者としての魅力をご自身で見いだされていくことでしょう。

・・・悲しい悲しいラストシーン。撫子の姿がゆっくりゆっくり遠くなっていく。撫子の、そのうつろな瞳。ああ、撫子、万歳。その一言に尽きた作品でした。
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